ReCap Photoでフォトグラメトリー

recap




実際にある物をスキャンして3Dデータを作る方法は様々です。
今はスマホアプリでも出来るし、様々な専用ソフトが出ていてとても手軽に作ることが出来ます。
今回は複数の写真を解析して3Dデータを作成するフォトグラメトリーを、Autodesk ReCap Photoを使って紹介します。

フォトグラメトリーについて

フォトグラメトリーは複数の写真を解析して3Dモデルにします。
カメラトラッキングと似ていて、各写真の特徴的なポイントをマッチングさせて3Dモデルを生成します。
このことを分かっているとスキャン時の注意する点なども理解しやすくなります。

フォトグラメトリーに向いているオブジェクトとは

画像の特徴的なポイントをマッチングさせるので特徴が少なかったり、見る角度によって見え方に変化がある物は苦手です。
また、工業製品のように直線的な物体も歪みが生じることがあるので、出来るけど粗が目立ちやすくなってしまいます。
向いているものをまとめると

  • マットな質感のもの
  • 模様のあるもの

逆に不向きなものは

  • 光沢のあるもの
  • 透明なもの
  • 動いているもの

等が挙げられます。

光沢のあるものは写真を撮る角度によって映り込みが変わるので正確なマッチングが出来なくなってしまいます。光沢や半透明のものをフォトグラメトリーで3Dデータを作りたい場合は、マットグレーなどのスプレーで塗りつぶし、所々マーカー(ペンなどで×印等をつける)をつけてあげれば比較的正確に解析が出来るようになります。

フォトグラメトリーに適した写真の撮り方

写真の撮り方も考える必要があります。
まずカメラについてはスマホでも一眼でも大丈夫ですが、ある程度解像度の高いものが良いです。

写真のアングルと枚数

撮るアングルは、出来るだけ様々な角度から撮るのが基本です。
小さいサイズであればその周りをぐるぐる回りながら撮影します。
画像は撮った写真のサンプルです。地面に置いてあるものを撮影したので下からのアングルがありません。この場合裏側に穴が空いたり、処理が雑になります。

recap_photo_smp

写真のサンプルです

大きいサイズの場合は脚立を使ったり、ドローンを使ったりします。つまり、サイズは写真さえ撮れれば3D化出来てしまうのもフォトグラメトリーの強みです。

枚数は多いと精度の高いものに仕上がります。具体的に何枚とは言えませんが、私は100枚以上撮るようにしています。

ライティング

ライティングは太陽光でも大丈夫ですが、出来れば曇り空のようなフラットなライトの方が綺麗に行くことが多いです。
これはコントラストが強くつきすぎて白トビや黒潰れの原因にもなりますし、ハイライトが動いてしまうことで綺麗に解析が出来ないこともあります。

更に、後の使い方にもよりますが、影がテクスチャにハッキリついてしまうのでCG上でのライティングに制限が出てしまいます。

露出

露出は一定で撮影します。これもマッチングの精度を上げるためです。
あとテクスチャも同時に生成させるので明るさにムラが出ないためにもなります。
このことからも直射日光だと難しいことが分かります。

絞りとシャッター

絞りとシャッターについては被写体がボケたりブレなければ大丈夫です。

ReCap Photoで3Dモデルにしてみよう!

写真が撮れたら実際に3Dモデルを作ってみましょう!(殆どソフト任せです!)
ReCap Photoはクラウドで解析するソフトなので、手順としては
写真のアップロード➡解析➡ダウンロード➡編集
という流れになります。

この例では公園に放置されていた子供用のおもちゃを撮影しました。
だいぶ使い古されて汚れも多いですが、一部ツヤツヤな面が残っていて部分的にフォトグラメトリーの苦手な個所があるモチーフで試してみます。

ではReCap Photoを立ち上げてみましょう。
開いたらCreate 3DのObjectを押します。

ReCap Photo

ReCap PhotoのObjectを押します

画像選択の画面に進むので、画面をクリック。

ReCap Photo

この画面のアイコン辺りをクリック

するとOpen Fileのウィンドウが出るので、画像のディレクトリを開き解析したい画像を選んで開くを押します。

ReCap Photo

解析したい画像をすべて選ぶ

ReCap Photoに選んだ画像が出ます。
下のCreateボタンを押します。

ReCap Photo

Createボタンを押します

Create Projectウィンドウが出るので、プロジェクト名を入力してStartボタンを押します。

ReCap Photo

Startを押します

するとReCap Photoを開いた時の画面に戻り、My Cloud Driveに今作ったプロジェクトが追加されています。
見ると写真のアップロードが開始されたことが分かります。ここからは待ち時間です。

ReCap Photo

写真のアップロード中

アップロードが終わると計算が始まります。これには写真の枚数や解像度でかかる時間は大きく変わります。
今回のプロジェクトでは113枚の写真をアップロードして1時間30分くらいかかりました。

ReCap Photo

計算中

気長に待って計算が終わるとダウンロードできるようになります。
サムネイルの右下にマウスオーバーするとダウンロードボタンが出てくるのでクリックしてダウンロードします。

ReCap Photo

計算が終わったらダウンロード

ダウンロードするとMy Computerにプロジェクトが出てきます。
クリックするとシーンを開いて確認や編集作業をします。

ReCap Photo

開いて確認します

シーンが開くと3Dモデルが確認できます。
ビューは右ドラックでグルグルと見わたせ、スクロールホイールで寄り引きが出来ます。

ReCap Photo

3Dモデルが出来た!

下の立方体マークでテクスチャ表示や、ワイヤーフレーム表示等に切り替えることが出来ます。
ソリッド表示にすると形状が分かりやすくなります。
すると驚くことに肉眼では分かりにくい地面の足跡まで綺麗に再現されています!

ReCap Photo

ソリッド表示

ここでいらないメッシュを消したりスケールを調整したりできますが、このまま3ds Maxに持って行って調整したいと思います。

書き出しは左側の下のアイコンをクリックして、出力フォーマットやテクスチャサイズ等を設定します。

ReCap Photo

出力設定

下のExportをクリックすると出力が出来ます。

3ds Maxでレンダリング

3ds Maxで読み込んでスケールや回転等を調整します。

ReCap Photo

3ds Maxに読み込んで調整

形状を確認しつつテストレンダリングしてみましょう。
(地面が少し狭かったので芝生で誤魔化しました。)
形状を見てみるとステアリングの部分が少しガタガタしていて、リアフェンダー部分も実際の形状と少し違います。
この原因としては、フラットな色で少し光沢があったため正確なマッチングが出来ていないからです。この場合、撮影時に現物を少し加工するか、CG上で形状を修正する必要が出てきます。

ReCap Photo

グレーマテリアルでテストレンダリング

テクスチャを表示してレンダリングするとこんな感じ。
細かい凹凸など少しならしましたが、ほぼスキャンしたそのまま。一昔前だと考えられない技術ですね!

ReCap Photo

テクスチャ入れてレンダリング

最後に

このフォトグラメトリーは背景の一部等にはほぼそのまま使用できるモデルも作ることが出来ます。
その他にも使用用途は様々です。
例えばモデリングのガイドや、トラッキングする際の背景のガイドにしたり。
映像意外だと建物や土地の計測などにも使われています。

手軽にできて楽しいので試したことない方は遊んでみてはいかがでしょう?







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